狂犬病のあれこれ
こんにちは!名古屋のトイプードルカットならおまかせのトリミングサロン犬の美容室いちごです。
3月から4月にかけて動物病院やお住まいの市区町村から「狂犬病」の案内が届くかと思います。
毎年しなくてはけないけど、なぜ注射を打っているのかわからない方も中にはいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は狂犬病について詳しくお伝えできたらと思います。
狂犬病とはどんな病気?
狂犬病は狂犬病ウイルスが原因でおこる病気で人間を含むすべての哺乳類にかかる病気です。
人から動物へ、その逆の動物から人へ感染する人獣共通感染症(ズーノーシス)になります。
※人獣共通感染症とは世界保健機関(WHO)では
「脊椎動物と人間の間で通常の状態で伝播しうる疾病(感染症)」と定義付けされています。
狂犬病ウイルスは感染している動物の唾液や血液に含まれている為、動物に噛まれたり、飛沫を浴びたり、妊娠している場合は胎盤を通して感染します。
通常1〜3ヶ月の潜伏期間がありますが噛まれた場所によって大きく差があります。
中には潜伏期間が1年と長い報告例もあります。
噛まれた場所から神経細胞を伝い脳に達して発症するため手足を噛まれるよりも首などの脳に近い部分を噛まれたほうが潜伏期間が短いです。
感染すると動物も人も興奮型(狂躁型)と沈うつ型(麻痺型)のいずれかを示し、
沈うつ、狂水症、よだれを垂らす、興奮、麻痺、神経症状、昏睡などが見られます。
また、現在でも治療法が確立されていない為動物も人も発症してしまうとほぼ100%死に至る恐ろしい病気です。
狂犬病予防注射はなぜ受けるの?
狂犬病の予防注射は狂犬病予防法第五条によって
犬の所有者(所有者以外の者が管理する場合には、その者)はその犬について、厚生労働省令の定めるところにより、狂犬病の予防注射を毎年一回受けさせなければならない。
と定められています。
また新しく犬を迎え入れた場合、取得した日(生後90日以内の犬を取得した場合は、生後90日を経過した日)から30日以内に、厚生労働省令の定めるところにより、その犬の所在地を管轄する市町村長(特別区にあつては、区長)に犬の登録を申請しなければなりません。
犬を登録すると鑑札、狂犬病予防注射を接種した証明に注射済票が市区町村から交付されます。
鑑札、注射済票は市区町村へ登録済みの証又は予防注射を受けた犬であることを証明するものなので首輪などわんちゃんが常に身につけている持ち物に鑑札、注射済票を装着することが義務付けられています。
要するに
狂犬病の予防接種を法律で毎年受けるように決められているから受けているのです。
では、なぜそのような法律ができたのでしょうか?
法律ができた経緯とは?
日本では18世紀以降には狂犬病が発生しておりました。
その中でも享保には狂犬病の大流行がみられ、イヌ、ウマ、キツネ、タヌキなどたくさんの動物が犠牲になったことが記されていました。
しかし、狂犬病の発生件数を記録することがなかったため、正確な発生件数を知ることはできませんでした。
その後、狂犬病の発生が人や犬の頭数が多い東京だけでなく郊外にも広がりがみられたため、1876年に畜犬規則を、1881年には畜犬取締規則が制定されました。
1896年に獣疫予防法が制定され、この法律で狂犬病を獣疫に規定して、狂犬病のイヌの殺処分を定めました。
これによって1897年から全国の狂犬病発生件数が公式に記録されるようになりました。
1897年8月からは伝染病研究所で発病予防処置を希望して来所する咬傷被害者にワクチン接種を行いました。
1918年に神奈川県で初めて犬の集団予防接種を行い、1919年には東京でも集団予防接種を開始しました。
その効果は狂犬病の犬および咬傷被害者の減少として現れ、1921年から23年の2年間の調査で、全国の狂犬病発生件数は増加しているのに対し、東京では減少傾向が見られました。
1922年には家畜伝染病予防法が制定されました。
これによって犬ばかりでなく、狂犬病を発病したすべての家畜の殺処分が定められました。
しかし、1924年は関東大震災の影響で狂犬病発生件数が大都市だけで1500件以上となり、史上最多の発生件数に達しました。
1925年から飼い犬の予防接種と野良犬の取り締まりが強力的にに進められた結果、
1925年は大阪700件、東京600件、神奈川500件、兵庫400件以上の発生報告があり前年とほとんど変らない件数でしたが、1926年以降は減少傾向がみられました。
1930年には全国発生件数が2桁になり、1933年から43年で発生件数は1~21件になりました。
1957年以降見られなくなり日本は狂犬病浄化国となりました。
ここまできちんと行う理由はもちろん
命を守るためです。
狂犬病を再度広げないためにも
・わんちゃんの登録を行うことで飼い主さんを明確にする
・狂犬病の予防注射をわんちゃんに受けさせる
・野犬を捕獲する
・海外から日本に来たの動物には厳しい基準での検疫を行う(犬、猫、キツネ、アライグマ、アライグマが対象)
それぞれをしっかり行うことで国内での発生を防いでいます。
海外での発生状況
日本では過去の病気と思われがちな狂犬病ですが、海外ではたくさんの地域で今も発生している身近な病気です。
アイスランド、スウェーデン、アイスランド、アイルランド、オーストラリア、フィージー、ハワイ諸島、グアムは厚生労働大臣が指定する狂犬病清浄地域となります。
それ以外の地域では狂犬病が発生している地域となり、中には死亡推定者数が1000人を超える地域もあります。
むやみに動物に触ることは避けましょう。
また、海外へ行く際は事前に狂犬病ワクチンを接種してから渡航することが望ましいとされています。
狂犬病は予防注射はどこで接種するの?
基本的に動物病院で接種してもらえます。
地域によっては獣医さんが公園や地域のコミュニティーセンターに来て接種してくれる集団接種を実施しているところもあります。
どちらもお住いの都道府県から届くハガキなど狂犬病予防注射の案内を忘れずに持参しましょう。
狂犬病予防注射接種前後の注意点
・接種当日は普段と様子が変わらない日に接種しに行きましょう。(食欲はあるか、元気はあるかなど)
・狂犬病予防注射接種後は過度な運動はしないでください。
・接種後4日〜5日はシャンプーなどトリミングは体調の面を考慮し、控えてください。(当店では狂犬病予防注射を含むワクチン接種の前後1週間は体調の万全を期す為トリミングはお控えていただいております。)
・狂犬病予防注射接種後、何かの異常がみられる場合は動物病院へ相談してください。
また、毎年接種していてもアレルギー症状が出ることもあります。
顔の腫れ、痒み、食欲低下、元気の低下、全身の震えなどの症状が出たらすぐに動物病院へ連絡してください。
・1頭につき1回交付される鑑札と毎年接種後に交付される注射済票はわんちゃんに装着することが法律で義務付けられています。首輪やハーネスに外れないようしっかりと装着しておきましょう。装着しておくことでもし、迷子になり誰かが保護した際、スムーズに飼い主さんにたどり着くことができます。(鑑札が未装着のわんちゃんに比べ無事に再会できる可能性が高くなります。)
トリミングサロンやドッグランなど施設での注意点
未然にトラブルを避けるため、混合ワクチンの接種証明証と共に狂犬病予防注射済証の提示が必要な施設も多いです。
初めて利用する際はあらかじめ必要か聞いておくと良いでしょう。
また、病気や重い副反応などでやむを得ず狂犬病予防注射が打てなかったり、治療中で通常の期間中予防注射が打てない子には
獣医師から狂犬病予防注射猶予証明書を発行してもえるので施設を利用する際はあらかじめ注意点として伝えておくと良いでしょう。
意外と忘れがちな手続き
引越しをした際は住所変更の手続きが必要となります。
転入から30日以内に、新住所の市区に犬の住所変更届を提出してください。
その際に前の住所でいただいた鑑札を捨てずに保管しておいてください。
地域によりますが新市区町村の鑑札と交換してもらえることが多いです。
(地域によっては旧市区町村の鑑札を紛失した場合、手数料がかかる場合もあります。)
もし、届け出を怠ると20万円以下の罰金に処されることがあります。
注意しましょう。
まとめ
・狂犬病は発症したら治療法がないため致死率がほぼ100%の恐ろしい病気
・わんちゃんに年1回の狂犬病予防注射を受けさせる
・接種当日はわんちゃんが体調に問題なく元気か
・接種当日は市区町村からの狂犬病の案内を忘れずに持参する
・接種後はわんちゃんに変化がないかしっかり様子をみる
・鑑札と注射済票をわんちゃんに装着する
いかがでしたか?
狂犬病という恐ろしい病気からわんちゃん(動物)や人の命を守る手段が予防注射です。
毎年接種して狂犬病がまた国内で蔓延しないようみんなで予防しましょう。